アフリカから中東、中央アジア、インド北西部まで分布する中型の野生ネコです。名前はトルコ語で「黒い耳」を意味し、長い耳の先の黒い房毛が目印です。飛び立つ鳥に跳びついて捕らえる狩りで知られます。世界全体では低懸念(LC)と評価されていますが、北アフリカやアジアでは数が少なくなっている地域があります。
カラカル Caracal
Caracal caracal (Schreber, 1776)
耳先の黒い房毛が目印の、跳躍の名手
最終更新:
概要
基本データ
| 学名 | Caracal caracal |
|---|---|
| 命名者 | (Schreber, 1776) |
| 分類 | ネコ亜科 / カラカル系統 / Caracal |
| 階級 | 種 |
| 頭胴長 | 80〜100 cm |
| 尾長 | 20〜34 cm |
| 体重 | 6〜18 kg |
| 分布 | アフリカ・アジア |
| 生息環境 | サバンナ・草原・森林 |
| 活動時間 | 夜行性 |
| IUCN レッドリスト | LC 低懸念 |
| 国内の指定 | 特定動物(動物愛護管理法) |
見た目の特徴
頭から胴までが80〜100cm、体重は6〜18kgほどで、アフリカにすむ小型ネコ類の中では大柄です。毛は短く、黄褐色から赤褐色で模様がありません。顔には黒い線と白い斑があります。三角形の耳は裏が黒く、先に長さ4〜5cmの黒い房毛があります。脚は長く、筋肉質の体つきで、尾は短めです。
生態
単独で暮らし、主に夜に活動しますが、生息地や気温によっては昼にも動きます。小〜中型の哺乳類と鳥を主に食べ、地域によっては家畜を襲うこともあります。鳥に忍び寄り、飛び立つ瞬間に2m以上跳び上がって捕らえることができます。妊娠期間は78〜81日ほどで、1回に1〜6頭(通常2〜4頭)の子を産みます。
分布と生息環境
アフリカの広い範囲から、アラビア半島、中東、トルコを経て、トルクメニスタンやインド北西部まで分布します。2017年の分類では、南部・東アフリカの C. c. caracal、北・西アフリカの C. c. nubicus、中東からインドの C. c. schmitzi の3亜種に分けられていますが、遺伝子の研究による確認が待たれています。
半砂漠、ステップ、サバンナ、低木林、乾燥した林など、乾いた環境を中心にすみます。本格的な砂漠や熱帯雨林は避けます。
家猫との関係
カラカルを元にした公認の猫種は確認されていません。動物園などで、カラカルと家猫、カラカルとサーバルの交雑個体が記録されたことはあります。インドでは、かつて支配者層が鳥などの狩りにカラカルを使っていたと伝えられています。
ペットとして飼える?
カラカル は野生動物で、ペットとして飼うべき動物ではありません。見た目が家猫に似ていても家庭での暮らしには向かず、多くの国で捕獲や取引が法律や条約で規制されています。野生の姿を知り、すみかの森や草原を守ることが、この動物のためにできることです。
保全状況
2016年に公表された IUCN レッドリストの評価では低懸念(LC)とされていますが、分布域の多くで個体数の傾向はわかっていません。北アフリカでは危機にあるとされ、インドでは分布が限られ、約50頭しか残っていないという推定も報道されています(2023年)。ワシントン条約では、アジアの個体群が附属書I、それ以外が附属書IIに掲載されています。生息地の破壊、家畜の被害をめぐる迫害、ペット目的の取引が主な脅威です。
発見と記載
1776年、ドイツの博物学者シュレーバーが記載しました。caracal という呼び名は、1761年にフランスの博物学者ビュフォンが、トルコ語の karakulak(黒い耳)をもとに使ったものです。以前はオオヤマネコ属やネコ属に入れられていましたが、2006年の遺伝子研究などを経て、アフリカゴールデンキャットとともにカラカル属に分類されています。
豆知識
- 名前は、トルコ語で「黒い耳」という意味の karakulak に由来します
- 耳の先の黒い房毛は、長さ4〜5cmほどあります
- サーバルやアフリカゴールデンキャットと近い「カラカル系統」の仲間です
よくある質問
日本では動物愛護管理法の特定動物に指定されており、2020年6月1日から、新たに愛玩目的で飼うことは禁止されています。動物園などが飼う場合も、都道府県知事などの許可が必要です。
鳥に忍び寄り、飛び立つ瞬間に2m以上跳び上がって捕らえます。
耳の先の房毛がオオヤマネコに似ているため、以前はオオヤマネコ属に入れられたこともありますが、現在はカラカル属に分類されています。近い仲間はアフリカゴールデンキャットとサーバルです。
姫路市立動物園と、三重県のごかつら池どうぶつパークで飼育されています(2026年7月時点の園の情報に基づく)。展示の状況は変わることがあるので、訪れる前に各園の情報を確認してください。
参考文献
- Caracal (Caracal caracal)
- A revised taxonomy of the Felidae: The final report of the Cat Classification Task Force of the IUCN/SSC Cat Specialist Group
- ワシントン条約 附属書(2025年2月7日発効)
- Caracal caracal (Carnivora: Felidae)
- As caracals inch towards extinction, path to conserving the wild cat remains unclear
- 特定動物リスト
- カラカルのオスが来園しました
- カラカル