南米ボリビアのアンデス山脈東斜面に広がる雲霧林「ユンガス」にすむ、小さな野生ネコです。2026年9月に新種として発表されました。現在も独立した種と認められているネコ科動物の新種記載としては、1923年以来、100年以上ぶりと報じられています。英語で「タイガーキャット」と呼ばれる小型ネコの仲間です。
ティルカヨ Tilcayo
Leopardus tilcayo Nogales-Ascarrunz, Aliaga-Rossel, Lescroart & Eizirik, 2026
2026年に新種として記載された、ボリビアの小さな野生ネコ
最終更新:
概要
基本データ
| 学名 | Leopardus tilcayo |
|---|---|
| 命名者 | Nogales-Ascarrunz, Aliaga-Rossel, Lescroart & Eizirik, 2026 |
| 分類 | ネコ亜科 / オセロット系統 / Leopardus |
| 階級 | 種 |
| 頭胴長 | 42.5〜50.5 cm |
| 尾長 | 25〜26.5 cm |
| 分布 | 南アメリカ |
| 生息環境 | 森林・山地 |
| IUCN レッドリスト | NE 未評価 |
見た目の特徴
家猫よりかなり小柄で細身です。明るい茶色〜ベージュの地に、こげ茶〜黒の輪のような大きく不規則な斑紋(ロゼット)があり、輪が開いた形や半分閉じた形が多いのが特徴です。背中の中央はやや濃く、脚に向かって淡くなります。短く丸い耳と長いヒゲをもち、尾は長めで、近縁種の一部に見られるような尾を一周する太い縞はありません。報道で紹介された保護施設の個体の体重は約1.4kg(3ポンド)です。
生態
野生での食性や活動時間など、詳しい生態はまだほとんどわかっていません。報道では、糞から小型のネズミ類が見つかったことや、カメラトラップの記録から夜に活動する傾向がうかがえることが紹介されていますが、いずれも暫定的な情報です。現地では、生息状況を調べる調査が進められています。
分布と生息環境
現時点で確認されているのはボリビアのユンガスだけです。新種の基準となった標本は、ラパス県ノル・ユンガス郡のアラパタ村付近、標高約1,570mで得られました。分布がどこまで広がるかは、これからの調査を待つ段階です。
アンデス山脈の東斜面からアマゾン低地へと続く山地の雲霧林にすんでいます。霧の生じやすい、湿った山の森です。
家猫との関係
家猫と同じネコ科ですが、系統はかなり離れています。家猫はイエネコ系統のリビアヤマネコから生まれたのに対し、ティルカヨはアメリカ大陸で独自に進化してきたオセロット系統です。ティルカヨを交配に使って作られた猫種はありません。
ペットとして飼える?
ティルカヨ は野生動物で、ペットとして飼うべき動物ではありません。見た目が家猫に似ていても家庭での暮らしには向かず、多くの国で捕獲や取引が法律や条約で規制されています。野生の姿を知り、すみかの森や草原を守ることが、この動物のためにできることです。
保全状況
IUCN レッドリストでの評価はまだ行われていません。これまでまとめて評価されてきたタイガーキャットの仲間(Leopardus tigrinus)は危急(VU)とされており、研究チームは、種ごとに分けて評価し直す必要があると指摘しています。すみかの森林の減少が懸念されていますが、個体数や脅威の詳しい評価には、これからの調査が必要です。
発見と記載
きっかけは、ボリビアの野生動物保護施設「センダ・ベルデ」に持ち込まれた1匹でした。地元の男性が森の近くで見つけた子猫を家猫だと思い込み、1年ほど育てたのち施設に託したものです。生物学者のパオラ・ノガレス=アスカルンス氏が2019年、ほかの地域のタイガーキャットと斑紋の大きさや形が違うことに気づき、遺伝子研究が始まりました。ベルギーのアントワープ大学やブラジルのリオグランジ・ド・スル・カトリック大学(PUCRS)などの研究チームは、タイガーキャットの仲間26個体を含むオセロット属38個体の全ゲノムを解析しました(うち8個体は博物館の標本に由来)。その結果、タイガーキャットの仲間は5つの種(Leopardus tigrinus・L. guttulus・L. pardinoides・L. emiliae・L. tilcayo)に分かれること、ティルカヨは約140万年前に近縁の系統から枝分かれしたことが明らかになりました。
豆知識
- 「ティルカヨ」は、ユンガス地方の人びとが昔から呼んできた名前をそのまま学名にしたものです
- 名前の由来は地元でもわかっておらず、スペイン語やケチュア語の特定の意味との結びつきも確認されていないと報じられています
- タイガーキャットの仲間は見た目がそっくりで、外見だけでは見分けにくい「隠蔽種」として知られています
よくある質問
頭から胴までが約42.5〜50.5cm、尾が約25〜26.5cmで、家猫より小柄です。報道で紹介された保護施設の個体の体重は約1.4kgです。種全体の体重の幅は、これからの測定を待つ段階です。
現在も独立した種と認められているネコ科動物の新種記載として、1923年以来とされているためです。見た目がそっくりなタイガーキャットの仲間を遺伝子で調べ直した結果、別の種だとわかりました。
家猫の品種ではなく野生動物なので、ペットとして求めるべきではありません。
現時点で確認されているのはボリビアのユンガスだけで、野生の姿を見る機会はほとんどありません。生息数もわかっておらず、現地で調査が進められています。
参考文献
- Phylogenomics and museomics reveal five distinct species of tiger cats in South America
- Leopardus tilcayo(記載の要旨)
- New Species of Tiger Cat Identified in Bolivia
- Meet the First New Cat Species Discovered in 100 Years
- New wild cat species is identified for first time in 100 years, researchers say
- New species of wild cat discovered in Bolivia's cloud forest
- New tiger cat species identified in Bolivia, first in over a century
- Nova espécie de felino: Leopardus tilcayo