保護猫の迎え方完全ガイド!譲渡会から家族になるまでの全ステップ

保護猫の迎え方完全ガイド!譲渡会から家族になるまでの全ステップ

飼い方・しつけ 投稿: 2025年09月24日   更新: 2025年10月09日

保護猫が新しい家族になる

猫カフェを訪れると、時々こんな札を見かけませんか?「この子の里親さん募集中」

実は今、保護猫カフェとして里親募集をしている店舗が増えているんです。年間数万匹もの猫たちが、新しい家族との出会いを待っています。でも、「保護猫を迎えたいけど、どうすればいいの?」「審査が厳しいって聞くけど...」そんな不安の声も聞こえてきます。

今回は、保護猫を迎える準備から正式譲渡まで、実際の流れと心構えを詳しくご紹介します。保護猫との出会いは、きっとあなたの人生を豊かにしてくれるはずです。

なぜ保護猫を迎えるのか

命を救うという選択の重み

一匹の譲渡が生む希望の連鎖
「ペットショップで買う方が簡単なのに、なぜ保護猫?」そう思う方もいるかもしれません。

でも、保護猫を迎えることは、直接的に命を救う行動なんです。あなたが一匹の猫を迎えることで、その保護施設には新しい猫を受け入れる余裕が生まれます。つまり、次の命を救う連鎖が始まるんです。

日本では年間2万匹以上の猫が殺処分されています(2022年度環境省データ)。でも、この数は年々減少しています。それは、保護猫を迎える人が増えているから。あなたの選択が、この社会問題の解決に直接つながっているんです。

「命を救った」なんて大げさに聞こえるかもしれません。でも、あなたに救われた猫は、間違いなく幸せな猫生を送ることができます。それって、素晴らしいことだと思いませんか?

実は初心者にも優しい保護猫

意外なメリットがたくさん
「保護猫って、なんだか大変そう...」というイメージがあるかもしれません。でも実は、初めて猫を飼う人にこそおすすめなんです。

まず、成猫の場合は性格がはっきりしています。「この子は甘えん坊」「この子は独立心が強い」など、保護団体のスタッフさんが詳しく教えてくれます。自分のライフスタイルに合った子を選べるんです。

健康面も安心です。多くの保護猫は、健康チェック、ワクチン接種、去勢・避妊手術が済んでいます。これらを自分で手配すると10万円近くかかることもありますが、保護猫なら実費程度の負担で済みます。

そして何より心強いのが、譲渡後のサポート体制。「猫が食事を食べない」「トイレを失敗する」そんな時も、保護団体に相談できます。一人で悩まなくていいんです。

譲渡までの道のり

まずは情報収集から始めよう

運命の出会いを探して
保護猫との出会いの場は、意外とたくさんあります。

保護団体のWebサイトでは、写真付きで猫たちが紹介されています。性格や年齢、健康状態も詳しく書かれていて、「この子に会ってみたい!」という子が見つかるかも。最近はInstagramやTwitterでも情報発信している団体が多いです。

譲渡会は、実際に猫と触れ合える貴重な機会。ペットショップの一角や公民館などで、週末を中心に開催されています。写真では分からない、その子の雰囲気や相性を確かめられます。

保護猫カフェなら、リラックスした環境で猫たちと過ごせます。何度か通って、じっくり相性を見極めることもできます。「常連になったら、あの子と家族になりたくなった」なんて素敵な出会いもあるんです。

譲渡会での運命の出会い

ドキドキの初対面
譲渡会当日。会場に入ると、ケージの中からたくさんの猫たちが見つめています。

まず受付で身分証明書を提示し、アンケートに記入します。「ペット可の住宅ですか?」「家族は全員賛成していますか?」基本的な質問ばかりなので、緊張しなくて大丈夫。

気になる子がいたら、スタッフさんに声をかけてみましょう。「この子はどんな性格ですか?」「初心者でも飼えますか?」どんな質問にも、優しく丁寧に答えてくれます。

ケージから出してもらって、実際に触れ合うこともできます。膝に乗ってくる子、少し離れて様子を見る子、すぐにゴロゴロ言い始める子...その瞬間に「この子だ!」とビビッと来ることもあれば、「うーん、ちょっと違うかな」と感じることも。

焦らなくて大丈夫です。「今日は見るだけで」という選択もアリ。運命の出会いは、きっと訪れます。

審査という名の相性確認

猫の幸せを願うからこそ
「審査」と聞くと緊張しますよね。でも、これは猫とあなたの相性を確認する大切なプロセスなんです。

確認される内容は、住環境(ペット可物件か)、家族全員の同意、経済力、飼育経験、そして何より終生飼育の覚悟があるか。厳しく感じるかもしれませんが、保護団体の方々は、二度と猫たちを不幸にしたくないんです。

「一人暮らしはダメ」「高齢者はダメ」という団体もありますが、これは過去の悲しい経験から。でも、条件をクリアする方法もあります。例えば、万が一の時の後見人を決める、定期的に報告をする約束をする...誠意を持って相談すれば、道は開けることが多いです。

審査は「落とすため」ではなく、「猫と人、両方の幸せのため」。正直に、誠実に向き合えば、きっと理解してもらえます。

トライアル期間という素晴らしいシステム

お互いを知る大切な時間
多くの保護団体では、正式譲渡の前に2週間〜1ヶ月のトライアル期間を設けています。

これは「お試し」という軽い意味ではありません。実際に一緒に暮らしてみて、本当に家族になれるかを確認する大切な期間。猫にとっても、新しい環境に慣れるための時間なんです。

最初の数日は、猫も緊張しています。ベッドの下に隠れて出てこない、ご飯を食べない、トイレを失敗する...これは普通のことです。「うちに来て失敗だったかな」なんて思わないでください。

1週間もすれば、少しずつ変化が現れます。恐る恐る部屋を探検し始め、あなたの声に反応するようになり、やがて膝に乗ってくるかもしれません。この変化を見守る時間こそ、飼い主としての喜びの始まりです。

万が一、どうしても相性が合わない場合は、返還することも可能です。これは「無責任」ではなく、猫のためにも必要な選択肢。お互いの幸せのためのシステムなんです。

必要な準備とお金の話

猫を迎える前の準備リスト

快適な新生活のために
猫を迎える前に、必要なものを揃えておきましょう

まず絶対に必要なのがキャリーバッグ。猫を連れて帰る時はもちろん、病院に行く時にも使います。次にトイレと砂。猫は清潔好きなので、トイレ環境はとても大切です。

食器は食事用と水用、2つ用意しましょう。猫は髭が器に当たるのを嫌がるので、浅めで広い器がおすすめ。フードは、最初は保護団体で食べていたものと同じものを。急な変更は、お腹を壊す原因になります。

爪とぎは必須アイテム。家具を守るためにも、数カ所に設置しましょう。ベッドは...実は段ボール箱でも大丈夫。猫は意外と、高級ベッドより段ボールを選ぶことも多いんです(笑)。

これらを全部揃えても、2〜3万円程度。ペットショップで子猫を買う金額を考えれば、ずっとリーズナブルです。

お部屋の猫対策

安全第一の環境づくり
猫が来る前に、部屋を猫仕様にしておきましょう。

最重要は脱走防止対策。窓には網戸ロック、玄関には脱走防止フェンスを。「うちの子は大丈夫」と思っても、パニックになった猫は予想外の行動を取ることがあります。

次に危険物の除去。観葉植物の中には猫に有毒なものも多いです。ユリ科の植物は特に危険。電気コードも、噛み癖のある子には要注意です。カバーを付けるか、届かない場所に配線し直しましょう。

そして隠れ場所の確保。新しい環境に来た猫は、安心できる隠れ場所が必要です。ケージを用意するか、押入れの一部を開放するか。「ここは安全だよ」という聖域を作ってあげてください。

一生にかかるお金のリアル

愛情はプライスレス、でも現実も大切
猫を飼うには、お金がかかります。これは避けられない現実です。

譲渡時には、医療費負担金として2〜5万円程度かかることが多いです。これは、ワクチン代、去勢・避妊手術代、検査費用、マイクロチップ代などの実費。決して「猫の値段」ではありません。

月々の支出は、食費3,000〜5,000円、トイレの砂1,500〜2,500円。これに加えて、医療費の積み立ても忘れずに。健康な時でも月2,000〜3,000円は積み立てておきたいところ。突然の病気や怪我で、数十万円かかることもあるんです。

年間にすると15〜20万円。15年生きるとして、総額200〜300万円。決して安くはありません。でも、毎日の「おかえり」のスリスリ、膝の上でゴロゴロ、一緒に眠る温もり...これらはお金では買えない幸せです。

トライアル期間の過ごし方

最初の3日間が勝負

じっと我慢の子育て
猫が家に来た!嬉しくて、撫でたい、抱っこしたい、遊びたい...でも、ちょっと待って

最初の3日間は、猫にとって人生最大のストレス期間。知らない場所、知らない匂い、知らない人...パニック状態なんです。ケージや用意した部屋に入れたら、そっと見守るだけにしましょう。

「ご飯食べてる?」「トイレした?」確認はこっそりと。話しかけるなら、優しく小声で。「大丈夫だよ」「ゆっくりしていいよ」猫は言葉の意味は分からなくても、あなたの優しさは伝わります

隠れて出てこなくても、心配しないで。猫は賢い動物です。「ここは安全だ」と理解すれば、必ず出てきます。焦りは禁物です。

1週間後の小さな奇跡

少しずつ開く心の扉
1週間もすると、猫に変化が現れます。

まず、あなたがいても隠れなくなります。遠くから、じーっと観察している視線を感じるかも。これは「あなたを知ろうとしている」サイン。次第に行動範囲が広がり、夜中にこっそり探検している形跡が。朝起きたら、意外な場所に猫がいてビックリすることも。

おやつ作戦も効果的です。「チュール」のような液状おやつを指につけて差し出すと...恐る恐る近づいてきて、ペロペロ。この瞬間の距離の縮まり方は感動的です。

遊びの誘いも始めましょう。猫じゃらしを振ると、最初は遠くから見ているだけ。でも、狩猟本能には逆らえません。ついつい手が出て...気づけば夢中で遊んでいる。「やった!」と心の中でガッツポーズです。

よくあるトラブルと解決法

先住猫との緊張関係

時間が解決してくれる
「先住猫と新入り猫が仲良くならない!」これはよくある悩みです。

猫は縄張り意識が強い動物。突然知らない猫が現れたら、「侵略者だ!」と警戒するのは当然。シャーシャー威嚇し合う姿を見ると、「失敗だったかな...」と不安になりますよね。

でも、諦めないでください。まず完全に隔離することから始めます。姿は見えないけど、匂いと気配は感じる状態を1週間。次に、ガラス越しやケージ越しに顔を合わせる段階へ。最初は威嚇し合っても、次第に慣れてきます。

そして、ついに直接対面。最初は5分、次は10分と、少しずつ時間を延ばします。1ヶ月もすれば、同じ部屋で過ごせるようになり、3ヶ月後には一緒に寝ている...なんてことも。猫の適応力を信じて、焦らず見守りましょう。

なかなか人に慣れない猫

その子のペースを大切に
保護猫の中には、人間に対して深い不信感を持っている子もいます。

虐待を受けていた、野良生活が長かった...理由は様々ですが、トラウマは簡単には消えません。1ヶ月経っても触らせてくれない、近づくと逃げる...「私のこと、嫌いなのかな」と悲しくなることも。

でも、よく観察してみてください。あなたがいる部屋に、わざわざ来ていませんか?遠くから、じっと見つめていませんか?これは「気になる存在」になっている証拠。嫌いなら、近寄りもしません。

無理強いは禁物です。ただ同じ空間にいる、優しく話しかける、美味しいご飯を用意する...こうした日々の積み重ねが、いつか信頼の扉を開く鍵になります。半年、1年かかるかもしれません。でも、その分、心を開いてくれた時の喜びは格別です。

子猫と成猫、どっちがいい?

子猫の魅力と大変さ

育てる喜びと責任
子猫は本当に可愛いです。小さな体、大きな瞳、よちよち歩き...

順応性が高く、新しい環境にもすぐ慣れます。しつけもしやすく、「うちの子」に育てる楽しみがあります。遊ぶ姿は見ていて飽きません。毎日が新しい発見の連続です。

でも、手間も相当かかります。3〜4時間おきの食事、トイレトレーニング、いたずら対策...まるで人間の赤ちゃんのよう。カーテンによじ登る、コードを噛む、ティッシュをばらまく...目が離せません。

そして性格は未知数。甘えん坊になるか、ツンデレになるか、やんちゃになるか...成長してみないと分かりません。それも含めて楽しめる人には、子猫は最高のパートナーです。

成猫こそ初心者向け

落ち着いた大人の魅力
実は成猫の方が飼いやすいって、知っていましたか?

まず、性格が確定しています。「この子は膝乗り猫」「この子は独立心が強い」保護団体のスタッフさんが詳しく教えてくれるので、自分のライフスタイルに合った子を選べます。「静かに暮らしたい」なら大人しい子、「遊び相手が欲しい」なら活発な子を。

お世話も楽です。トイレは完璧、食事も決まった時間に決まった量。いたずらも少なく、一人でお留守番もできます。仕事で忙しい人、初めて猫を飼う人には、成猫の方が向いているかもしれません。

「懐かないのでは?」という心配は無用です。成猫だって、愛情を注げば必ず応えてくれます。むしろ、辛い過去を持つ子ほど、救ってくれた人への感謝と愛情は深いものです。

最後に:保護猫との出会いが教えてくれること

保護猫を迎えるということは、単にペットを飼うということではありません。

それは命の重さを知り、無条件の愛を学び、責任の意味を理解すること。辛い過去を持つ猫が、少しずつ心を開いてくれる過程は、あなたに多くのことを教えてくれるでしょう。

確かに、審査は厳しいかもしれません。費用もかかります。慣れるまで時間もかかるでしょう。でも、その先にはかけがえのない家族との生活が待っています。

朝、顔を舐めて起こしてくれる。仕事から帰ると、玄関で待っていてくれる。寂しい時、そっと寄り添ってくれる。そんな日常が、あなたの人生をどれだけ豊かにしてくれることか。

保護猫との出会いは、運命です。今、この瞬間も、どこかであなたを待っている猫がいます。その子と出会える日を、楽しみにしていてください。


この記事は、にゃんこDB事務局が作成しました。

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