猫のボディランゲージ図鑑!姿勢と動作から読み取る50の感情表現

猫のボディランゲージ図鑑!姿勢と動作から読み取る50の感情表現

その他 投稿: 2025年09月20日   更新: 2025年10月10日

猫は全身で語りかけている

「うちの猫、何を考えているんだろう?」そんな疑問を持ったことはありませんか?

実は猫は、鳴き声だけでなく、耳の角度、尻尾の動き、体の姿勢、ヒゲの向きまで、全身を使って感情を表現しています。まるで手話のように、体の各部位が独自の「言葉」を持っているんです。

でも、その言葉を正しく理解するのは意外と難しいもの。例えば、猫がお腹を見せている時、「撫でて」と思いがちですが、実は「今は触らないで」というサインかもしれません。こうした猫の本当の気持ちを理解できるようになれば、猫との関係はもっと深く、もっと楽しくなります。

今回は、猫のボディランゲージを部位別、感情別に、具体的な場面を交えながら詳しく解説していきます。

尻尾が語る感情

喜び・興奮の表現

ポジティブな尻尾の動きを理解しよう
猫の尻尾は、まるで感情のバロメーターのようです。その動き一つ一つに、猫の気持ちが込められています。

垂直に立てる
しっぽをピンと垂直に立てているのは、猫が最も幸せで自信に満ちている時のサインです。飼い主さんが帰宅した時、「やっと帰ってきた!」と玄関まで迎えに来て、しっぽを立てて足元にスリスリ...これは最高の歓迎の証です。

また、猫同士が出会った時にこの姿勢を取るのは、「私は友好的だよ」という挨拶の意味。猫カフェで新しい猫と仲良くなりたい時、この姿勢で近づいていく様子がよく見られます。

先端をクエスチョンマーク型に曲げる
しっぽの先だけがくるんと曲がって、まるで「?」マークのような形。これは遊び心満載のサインです。「ねえねえ、遊ぼうよ!」という誘いの気持ちが込められています。

特に若い猫に多く見られ、おもちゃを見つけた時や、飼い主さんが猫じゃらしを取り出した時によく見られます。この時の猫は、目もキラキラして、今にも飛びかかってきそうなワクワク状態です。

ゆらゆら優しく振る
左右にゆったりと振る動きは、楽しい気分や期待の表れです。ごはんの準備をしている時、キッチンの音を聞いて「もうすぐかな?」と期待している猫のしっぽは、まるでメトロノームのように規則正しく揺れています。

この動きは、犬のしっぽ振りに似ていますが、猫の場合はもっと優雅でゆったりしています。幸せな気持ちがあふれている証拠です。

小刻みに震わせる
しっぽの先端を小刻みにプルプル震わせるのは、大興奮のサイン!大好きな飼い主さんに久しぶりに会えた時、特別なおやつをもらえる時など、嬉しさが最高潮に達した時に見られます。

また、オス猫がマーキングする時にも同じような動きをしますが、その場合は後ろ向きで壁などに向かって立っているので、区別は簡単につきます。

不快・警戒の表現

ネガティブな尻尾の動きに要注意
ここからは、猫が不快や警戒を感じている時のサインです。これらを見逃すと、引っかかれたり噛まれたりすることもあるので、しっかり覚えておきましょう。

左右に激しく振る
犬とは正反対の意味を持つこの動き。猫が左右に激しくバタバタとしっぽを振っている時は、「イライラしてる!」「もううんざり!」というサインです。

例えば、撫でている最中に急にこの動きが始まったら、それは「もう十分!やめて!」という合図。しつこく続けると、猫パンチや噛みつきが飛んでくることも。猫の「もういいよ」のサインを尊重してあげることが、良い関係を保つ秘訣です。

太く膨らむ(タヌキしっぽ)
しっぽが通常の2〜3倍に膨らんで、まるでタヌキのしっぽのようになる状態。これは極度の恐怖や威嚇のサインです。

掃除機の音、知らない人の訪問、他の動物との遭遇など、猫が「怖い!」「こっち来るな!」と感じた時に見られます。全身の毛も逆立って、体を横向きにして大きく見せようとすることも。この状態の猫はパニック状態なので、無理に近づかず、落ち着くまでそっとしておいてあげましょう。

股の間に巻き込む
しっぽをお腹の下にぎゅっと巻き込んでいる姿は、極度の恐怖と不安の表れです。動物病院の診察台の上、初めての場所、大きな音がした後など、猫が「助けて...」「怖いよ...」と感じている時のサインです。

この時の猫は、体を小さく縮めて、震えていることもあります。優しく声をかけて、安心させてあげることが大切。無理に引っ張り出そうとせず、猫のペースで落ち着くのを待ちましょう。

低い位置でピクピク動かす
しっぽを低い位置に保ちながら、先端だけをピクピクと動かす。これは獲物を狙うハンターモードのサインです。

窓の外の鳥、動くおもちゃ、時には飼い主さんの足など、「狙いを定めた獲物」がある時の集中状態。今にも飛びかかる準備をしているので、この後に突然のダッシュやジャンプが来ることを覚悟しておきましょう!

微妙な感情の読み取り方

繊細な表現を見逃さないで
猫の感情は、いつも分かりやすいわけではありません。微妙な動きにも、実は深い意味が隠されているんです。

ゆっくり左右に振る
激しい振り方とは違い、ゆったりと左右に振る動き。これは猫が「どうしようかな...」と迷っている時のサインです。

新しいおもちゃを前にして「遊ぶべきか、無視すべきか」、ドアの前で「外に出ようか、やめようか」と考えている時によく見られます。人間が考え事をする時に頭をかくように、猫はしっぽで思考中を表現するんです。

先端だけをちょこちょこ動かす
しっぽ全体は動かさず、先端の数センチだけをちょこちょこと動かす。これは「ちょっと気になるけど、そこまで興味はない」という微妙な関心の表れです。

テレビの音が聞こえた時、遠くで何かが動いた時など、「一応チェックしておこうかな」程度の軽い興味を示しています。全力で反応するほどではないけれど、完全に無視もしていない、そんな猫の心理状態が表れています。

体に巻きつける
座っている時に、しっぽを体にくるりと巻きつける姿勢。これはリラックスしている証拠ですが、同時に「今は一人でいたい」というサインでもあります。

寒い時期には保温のためにこの姿勢を取ることも多く、まるでマフラーを巻いているみたいで可愛いですよね。でも、この姿勢の時は無理に構わず、猫の「おひとり様タイム」を尊重してあげましょう。

耳が示す心理状態

基本的な耳の位置と感情

耳の角度で分かる猫の気持ち
猫の耳は、まるで感情のアンテナ。その向きと角度で、今の気持ちが手に取るように分かります。

前向きにピンと立っている
両耳が前を向いてしっかり立っている時は、何かに強い興味を持っている証拠。「あれは何だろう?」「面白そう!」という好奇心いっぱいの状態です。

新しいおもちゃを見せた時、窓の外に鳥が来た時、缶詰を開ける音が聞こえた時...猫の耳は瞬時に前を向いて、情報収集モードに入ります。この時の猫の表情は真剣そのもので、瞳孔も少し開いて、全神経を集中させています。

やや横向きでリラックス
耳が少し外側を向いて、力が抜けている状態。これは猫が最もリラックスしている時の耳の位置です。

お腹いっぱいで満足している時、日向ぼっこをしている時、飼い主さんの膝の上でくつろいでいる時...この耳の角度は「幸せだなぁ」という気持ちの表れ。特に警戒する必要もなく、安心しきっている証拠です。

後ろ向きに倒れている(イカ耳)
耳が後ろにペタッと倒れて、まるでイカの姿のような状態。これは不安、恐怖、不快感の明確なサインです。

「やめてよ」「嫌だな」「怖いよ」という気持ちが、耳の位置にはっきりと表れています。爪切りの時、シャンプーの時、苦手な人が近づいた時...この耳を見たら、猫のストレスサインとして受け止めて、できるだけ早く原因を取り除いてあげましょう。

完全に寝かせて頭に張り付く
耳が完全に後ろに倒れて、頭に張り付いたような状態。これは威嚇、攻撃準備、または極度の恐怖を表しています。

「これ以上近づいたら攻撃するぞ!」という最終警告のサイン。この状態の猫は、次の瞬間には引っかいたり噛みついたりする可能性が高いので、絶対に無理に触らないでください。距離を取って、猫が落ち着くのを待ちましょう。

耳の動きが教えてくれること

動く耳は情報収集中
猫の耳は左右独立して動かせる優れもの。まるでレーダーのように、360度の音を捉えることができます。

ピクピクと細かく動く
耳が小刻みにピクピクと動いている時は、周囲の音を一生懸命キャッチしている状態です。

「どこかで物音がした」「誰か来たかも」「あの音は何?」と、聴覚をフル活用して情報を集めています。家の中の小さな物音、外の車の音、隣の部屋の話し声...人間には聞こえない音も、猫の耳はしっかりキャッチしているんです。

片耳だけが動く
面白いことに、猫は片耳だけを器用に動かすことができます。これは特定の方向の音に注意を向けている時のサイン。

例えば、リラックスして寝そべっている時でも、キッチンで飼い主さんが動き始めると、その方向の耳だけがピクッと動きます。「ごはんの準備かな?でも動くのは面倒だな...」という、省エネモードの情報収集です。

両耳が違う方向を向く
左右の耳が別々の方向を向いている時は、複数の音源を同時にチェックしている状態。まるでマルチタスクをこなしているようです。

窓の外の鳥の声と、部屋のテレビの音を同時に聞いている時など、猫の優れた聴覚能力が発揮される瞬間です。

目と瞳孔の変化

瞳孔の大きさが語る感情

光だけじゃない、感情も瞳孔を変える
猫の瞳孔は、明るさに応じて変化するだけでなく、感情によっても大きく変わります。その変化を読み取ることで、猫の心理状態が分かるんです。

針のように細い瞳孔
明るい場所にいる時以外で瞳孔が細くなっているのは、とてもリラックスして満足している証拠です。

美味しいごはんを食べ終わった後、気持ちよく撫でられている時、暖かい日差しの中でうとうとしている時...この細い瞳孔は「あ〜幸せ」という気持ちの表れ。警戒心ゼロで、完全に安心している状態です。

まん丸に拡大した瞳孔
暗い場所以外で瞳孔が真ん丸に開いている時は、強い感情が湧き上がっている証拠です。

興奮、恐怖、驚き、強い興味...どれも瞳孔を大きくする要因です。おもちゃを見つけて「狩りモード」に入った時の瞳孔は、まるでビー玉のように真ん丸。逆に、大きな音に驚いた時も同じように瞳孔が開きます。

瞳孔が大きい時は、猫が何らかの強い刺激を受けている状態なので、その原因を探ってみましょう。

中程度の大きさ
特に大きくも小さくもない、ちょうど中間の大きさ。これは猫が落ち着いていて、特に強い感情を持っていない通常の状態です。

普段の生活の中で、のんびりと過ごしている時の瞳孔サイズ。平常心を保っている証拠です。

左右で大きさが違う場合
もし左右の瞳孔の大きさが明らかに違う場合は、神経系の問題や目の病気の可能性があります。すぐに獣医師に相談してください。

まばたきと視線に込められた意味

アイコンタクトは猫の言葉
猫の目を見つめ返すことで、実はコミュニケーションが取れるんです。その方法を詳しく見ていきましょう。

ゆっくりまばたき(猫のキス)
猫があなたを見つめながら、ゆーっくりと目を閉じて、またゆっくり開ける。これは最高の愛情表現で、「猫のキス」と呼ばれています。

「あなたのことが大好き」「一緒にいて安心」という気持ちの表れです。この時、あなたも同じようにゆっくりまばたきを返してあげると、猫との絆がさらに深まります。まるで愛の言葉を交わしているようで、とても幸せな瞬間です。

じっと見つめる
猫がじーっとあなたを見つめている時、その意味は状況によって変わります。

ごはんの時間が近い時の見つめは「まだ?」という催促。遊んでほしい時は「ねえねえ」という誘い。でも、知らない猫同士がじっと見つめ合っている場合は、にらみ合いの可能性も。猫の世界では、視線を逸らした方が「負け」なんです。

すぐに目を逸らす
あなたと目が合った瞬間、さっと視線を外す。これは「敵意はありません」という平和的なサインです。

猫同士の社会では、目を逸らすことで無用な争いを避けます。人間に対しても同じで、「あなたとケンカする気はないよ」という友好的なメッセージなんです。

半目でうっとり
目を半分閉じて、うっとりとした表情。これは最高にリラックスして幸せな状態です。

撫でられて気持ちいい時、暖かい場所でまどろんでいる時、大好きな飼い主さんの声を聞いている時...この表情を見せてくれる猫は、心から安心しています。

ヒゲの角度で分かること

ヒゲは高性能センサー

感情がヒゲの向きに表れる
猫のヒゲは単なる飾りではありません。空気の流れや振動を感じ取る高性能センサーであり、同時に感情を表現する道具でもあるんです。

前方にピンと向いている
ヒゲが顔の前方に向かってピンと張っている時は、強い興味や警戒心を持っている状態です。

「これは何だ?」と新しいものを調べる時、獲物を狙っている時、知らない音がした時...ヒゲを前に向けることで、より多くの情報を収集しようとしています。狩猟モードの時は、ヒゲが扇のように広がって、獲物の位置を正確に把握しようとします。

横に自然に広がっている
ヒゲが顔の横に自然に広がって、力が入っていない状態。これはリラックスして落ち着いている時の標準的な位置です。

特に警戒することもなく、興奮することもなく、平和な日常を過ごしている時のヒゲの状態。この時の猫は、周囲の環境に満足していて、ストレスを感じていません。

後ろに引いている
ヒゲが頬に沿って後ろに引かれている時は、恐怖、不安、または防御姿勢を示しています。

顔を守るために、ヒゲを後ろに引いて邪魔にならないようにしているんです。威嚇している猫、怯えている猫、嫌なことをされている猫...この時のヒゲは「近づかないで」というメッセージです。

ピクピクと動く
ヒゲが小刻みにピクピクと動いている時は、何かに強く集中している証拠です。

おもちゃの動き、獲物の位置、興味深い匂い...ヒゲのセンサーをフル活用して、情報を分析しています。この時の猫の表情は真剣そのもので、まさにハンターの顔です。

体全体の姿勢が語ること

リラックス時の姿勢

安心している時の体の使い方
猫がリラックスしている時の姿勢は、見ているだけで私たちも癒されますよね。それぞれの姿勢に込められた意味を見ていきましょう。

横たわって伸びる
体を横にして、足を伸ばしてゴロンと寝転がる姿勢。これは完全にリラックスして、警戒心ゼロの状態です。

野生では絶対にしない無防備な姿勢なので、「ここは100%安全」と感じている証拠。特に、窓から差し込む日差しの中でこの姿勢を取っている猫は、まるで楽園にいるような表情をしています。

仰向け(ヘソ天)
お腹を上にして、手足を広げて寝転がる姿勢。通称「ヘソ天」は、最高レベルの信頼と安心の証です。

お腹は猫にとって最も無防備な急所。それを堂々と見せるということは、「あなたを完全に信頼している」という究極の愛情表現です。ただし、お腹を見せていても「触って」という意味とは限りません。見せてくれるだけで十分な愛情表現なので、無理に触ろうとすると「猫パンチ」が飛んでくることも...

香箱座り
前足を体の下に隠して、まるで香箱のような形で座る姿勢。これは猫がくつろいでいる時の代表的なポーズです。

すぐには立ち上がれない姿勢なので、危険を感じていない証拠。でも完全に無防備というわけでもなく、「のんびりしているけど、何かあったら動けるよ」という、ちょうどいいリラックス状態です。

丸まって寝る(アンモナイト)
体を丸めて、頭と尻尾がくっつきそうなほど小さくなって寝る姿勢。まるでアンモナイトの化石のような形から、愛情を込めて「アンモニャイト」と呼ばれることも。

この姿勢は体温を保持するのに最適で、特に寒い時期によく見られます。安心して熟睡している時の姿勢で、深い眠りに落ちていることが多いです。

警戒・威嚇の姿勢

身を守る時、威嚇する時の体勢
猫が警戒したり威嚇したりする時の姿勢は、本能的で分かりやすいものです。

背中を丸める(猫背)
背中を高く丸めて、全身の毛を逆立てる姿勢。ハロウィンのイラストでよく見る黒猫のポーズです。

これは恐怖と威嚇が混ざった状態で、「怖いけど、戦う準備はできてるぞ!」という複雑な心理状態を表しています。体を大きく見せることで、相手を威嚇しつつ、いつでも逃げられる体勢を取っているんです。

体を低くして身構える
地面にぺったりと体をつけるように低くなり、いつでも飛びかかれる体勢。これは攻撃準備の姿勢です。

後ろ足に力を込めて、瞬発力を最大限に発揮できる状態。狩りの時も同じ姿勢を取りますが、威嚇の場合は耳が後ろに倒れ、瞳孔が開いているので区別できます。

横向きになって体を大きく見せる
体を横に向けて、できるだけ大きく見せようとする姿勢。これは相手を威嚇するためのビジュアル戦術です。

「俺はこんなに大きいんだぞ!」とアピールすることで、戦わずして相手を退却させようとしています。子猫同士の遊びでもよく見られる姿勢ですが、本気の時は表情が全く違います。

特徴的な愛情表現

猫独特の愛情の示し方

これが猫流の「大好き」サイン
猫の愛情表現は、犬とは全く違います。控えめだけど深い、猫ならではの愛し方があるんです。

頭突き(ゴッツン)
猫が頭をゴツンとぶつけてくる行動。これは最高の挨拶であり、愛情表現です。

「おはよう」「おかえり」「大好き」...いろんな意味が込められています。同時に、頭にある臭腺から自分のにおいをつけて、「この人は私のもの」とマーキングしているんです。力強い頭突きほど、愛情が深い証拠。時には痛いくらいの頭突きをしてくる猫もいますが、それは愛情の裏返しです。

スリスリ(体をこすりつける)
体を飼い主さんの足にスリスリとこすりつける行動。これも愛情表現とマーキングを兼ねています。

頬、額、体の側面には臭腺があり、そこから出るフェロモンを飼い主さんにつけているんです。「あなたは私の大切な人」という証。特に、帰宅時にスリスリしてくれる猫は、飼い主さんのにおいが薄くなっているのを感じて、「もう一度私のものにする!」と再マーキングしているんです。

ふみふみ(ニーディング)
前足で交互に押すように踏む動作。まるでパンをこねているような動きから、「ニーディング」とも呼ばれます。

これは子猫の頃、母猫のお乳を飲む時にしていた動作の名残。大人になってもこの動作をするのは、最高に甘えている証拠です。柔らかい毛布や飼い主さんのお腹の上でふみふみしながら、ゴロゴロと喉を鳴らす姿は、まさに至福の表情。この時の猫は、子猫の頃に戻って、完全に安心しきっています。

舐める(グルーミング)
飼い主さんの手や顔を舐めてくれる行動。これは最高の愛情表現の一つです。

猫同士では、仲の良い相手だけにグルーミングをします。つまり、飼い主さんを家族の一員として認めている証拠。ザラザラした舌の感触は独特ですが、これも愛情だと思えば嬉しいですよね。ただし、あまり長く舐められると皮膚が赤くなることもあるので、適度なところで「ありがとう」と言って止めてもらいましょう。

ストレス行動の見分け方

SOSのサインを見逃さないで
猫がストレスを感じている時に見せる行動。これらを早めに発見して、対処することが大切です。

過度なグルーミング
同じ場所を執拗に舐め続け、時には毛が抜けてハゲができてしまうことも。これは強いストレスのサインです。

人間が爪を噛むように、猫も不安やストレスを紛らわせるために過度にグルーミングをすることがあります。心のSOSとして受け止めて、ストレスの原因を探りましょう。環境の変化、新しいペット、騒音など、何か変わったことはありませんか?

しっぽを噛む
自分のしっぽを追いかけて噛む行動。子猫の遊びなら可愛いですが、成猫が執拗に行う場合は要注意です。

退屈、ストレス、時には皮膚病やノミの可能性も。しっぽに傷ができるほど噛んでいる場合は、すぐに獣医師に相談してください。

同じ場所を往復する(常同行動)
同じルートを何度も往復したり、意味なく鳴き続けたりする行動。これは精神的な不安定さの表れです。

「何かが違う」「落ち着かない」という不安を、繰り返し行動で紛らわせようとしています。猫が安心できる環境を整えて、できるだけストレスを減らしてあげましょう。

声と体を組み合わせた表現

総合的なコミュニケーション

声と体の動きはセットで理解する
猫は声だけでなく、体の動きも組み合わせて、より明確に意思を伝えてきます。

ニャーと鳴きながら見つめる
はっきりとした声で「ニャー」と鳴きながら、じっと見つめてくる。これは明確な要求のサインです。

「ごはんちょうだい」「ドア開けて」「遊んで」など、具体的な要求がある時の表現。しかも、要求が通るまで鳴き続けることも。賢い猫は、どんな鳴き方をすれば飼い主さんが反応するか学習しているんです。

ゴロゴロ音を出しながらスリスリ
喉をゴロゴロ鳴らしながら、体をスリスリとこすりつける。これは最高の甘えモードです。

「大好き〜」「撫でて〜」「一緒にいたい〜」という、愛情満載のメッセージ。この時の猫は、幸せホルモン全開で、飼い主さんとの時間を心から楽しんでいます。

シャーと威嚇しながら後退
「シャー!」という威嚇音を出しながら、後ずさりする。これは「来ないで!でも戦いたくない」という複雑な心理状態です。

怖いけど逃げ場がない、戦いたくないけど身を守らなければ...そんな葛藤が表れています。この時は無理に近づかず、猫が落ち着くまで待ってあげましょう。

誤解しやすい行動の真実

状況によって意味が変わる行動

同じ行動でも、場面によって意味が180度変わることがあります

お腹を見せる
「お腹を見せる=撫でてほしい」と思いがちですが、実はそうとは限りません。

確かに信頼の証ですが、お腹を触られるのが好きな猫は実は少数派。多くの猫は、お腹を見せても「見るだけにして」というスタンス。うっかり触ると、後ろ足でケリケリ攻撃されることも。これは「罠」と呼ばれる行動で、遊びの一環だったり、「触らないでって言ったでしょ!」という抗議だったりします。

お腹を見せてくれた時は、まず様子を見て、猫が本当に触ってほしがっているか確認しましょう。目を細めて幸せそうな顔をしていたら触ってもOKかも。でも、目がランランと輝いていたら...それは罠かもしれません!

ゴロゴロ音
ゴロゴロ音=幸せ、と思われがちですが、実は痛みや不安の時にも出ることがあるんです。

病院で診察を受けている時、体調が悪い時にもゴロゴロ音を出す猫がいます。これは自分を落ち着かせるための行動。人間が深呼吸をするように、猫はゴロゴロ音で自分を癒そうとしているんです。

普段と違う場面でゴロゴロ言っている時は、他の様子も合わせて観察してみてください。

じっと見つめる
猫がじっと見つめる行為も、愛情なのか威嚇なのか、判断が難しいことがあります。

瞬きをしながら優しい表情で見つめているなら愛情表現。でも、瞬きをせず、瞳孔が開いて耳が後ろに倒れていたら...それは「ガンつけてんじゃねーよ」という威嚇の可能性が。

特に初対面の猫とは、じっと見つめ合わないことが大切。ゆっくりまばたきをしたり、視線を外したりして、「敵じゃないよ」というメッセージを送りましょう。

まとめ

猫のボディランゲージは、尻尾、耳、目、ヒゲ、姿勢など全身で構成される複雑で繊細な感情表現システムです。

垂直に立てた尻尾は喜びと自信、後ろに倒れた耳は不安や恐怖、ゆっくりまばたきは深い愛情、前に向いたヒゲは興味と警戒...それぞれの部位が独自の意味を持ち、組み合わさることで、より複雑な感情を表現しています。

大切なのは、一つのサインだけで判断するのではなく、全体の様子と状況を総合的に見ること。同じ「お腹を見せる」行動でも、本当に撫でてほしい時と、罠を仕掛けている時では、耳の向きや目の輝きが違います。

最初は難しく感じるかもしれませんが、毎日観察していると、だんだんと「うちの子の言葉」が分かるようになってきます。「今日は機嫌がいいな」「何か要求があるみたい」「ちょっと体調が悪いかも」...そんな微妙な変化にも気づけるようになります。

猫カフェは、様々な個体のボディランゲージを観察できる最高の学習場所。いろんな猫の表現を見比べることで、猫という動物への理解がさらに深まります。

猫との暮らしは、この「無言の会話」の連続です。猫からの小さなメッセージを受け取り、それに応えることで、言葉を超えた深い絆が生まれます。

あなたの猫は今、どんなメッセージを送っていますか?その小さなサインに気づいて、応えてあげてください。きっと猫も、分かってくれるあなたに心から感謝しているはずです。


この記事は、にゃんこDB事務局が作成しました。

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