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猫が多い国ほど幸福度が高い?93か国を比べたPLOS One論文と、寄生虫トキソプラズマとの関係を解説

更新 2026年10月06日 読了 5分
猫が多い国ほど幸福度が高い?93か国を比べたPLOS One論文と、寄生虫トキソプラズマとの関係を解説

猫がたくさんいる国ほど、人々の幸福度が高い――。2026年9月30日、学術誌『PLOS One』に、93か国のデータを比べた研究が発表されました。一方で、猫のふんや加熱が足りない肉からうつる寄生虫「トキソプラズマ」に最近感染した人が多い国ほど、幸福度は低い傾向も見つかっています。猫は国を幸せにするのでしょうか。研究の中身と、読むときに気をつけたい点を整理します。

93か国のデータを並べた研究

論文の題名は「Wealth, health, cats and Toxoplasma gondii」。メキシコの国立精神医学研究所などに所属するハビエル・ボラス=レオン氏を筆頭に、フィンランドのトゥルク大学、ラトビアの研究機関、米シカゴ大学のダリオ・マエストリピエリ氏らがまとめました。

研究チームは、だれでも見られる国ごとのデータを集め、次の数字を並べて比べました。

  • 幸福度: World Population Review の2025年版(ギャラップ社の調査にもとづく2022〜2024年の3年平均)
  • 猫の数: 国ごとの推計を「人口1万人あたりの猫の数」にそろえたもの
  • トキソプラズマ: 妊婦の血液検査をまとめた既存の研究から、最近の感染(IgM抗体)と過去の感染(IgG抗体)の陽性率を5段階に分けたもの
  • 経済: 1人あたりGDP(世界銀行)、所得水準、医療費がGDPに占める割合(WHO)

結果:猫の数と幸福度は連動していた

幸福度との相関の強さ(相関係数。1に近いほど一緒に増え、−1に近いほど逆に動く)は次のとおりでした。

項目幸福度との相関係数
1人あたりGDP0.80
所得水準0.78
人口1万人あたりの猫の数0.62
医療費の割合0.35
過去の感染(IgG)−0.33
最近の感染(IgM)−0.54

さらに、猫の数・医療費・2種類の感染の4つを同時に入れて分析すると、国ごとの幸福度の違いのうち47%を説明できました。その中ではっきりした関係が出たのは、猫の数(プラス)と最近の感染(マイナス)の2つです。医療費と過去の感染の関係は小さく、統計的にははっきりしませんでした。

「猫を飼えば幸せになる」とは言えない

表を見ると、猫の数よりもGDPや所得水準のほうが、幸福度と強く連動しています。しかも猫の数そのものが、GDP(相関係数0.79)や所得水準(0.77)と強く連動していました。GDPと所得は互いに似すぎているため、4つを同時に見る分析からは外されています。

つまり「豊かな国ほど猫が多く、幸福度も高い」という関係が重なっている可能性があります。Sci.Newsの報道によると、研究チームは、これは国単位の関連であり、猫が多いと人が幸せになるとも、トキソプラズマが人を不幸にするとも言えないとしています。論文も、ある時点のデータを比べた研究のため、原因と結果は判断できないと明記しています。

論文はほかにも、次のような限界を挙げています。

  • 妊婦の検査結果で、国全体の感染の多さを代表させている
  • 飼い猫と野良猫を区別していない
  • 都市化・気候・衛生設備といった条件を入れていない
  • ある時点のデータを比べただけで、原因と結果は判断できない
  • データの集められた時期がそろっておらず、国によって質にも差がある

報道によると、トキソプラズマのデータは1976〜2017年の研究をまとめた2020年の総説から取られており、古い調査にもとづく国もあります。Earth.comの記事も、気温や湿度を考えに入れていない点などを限界として挙げています。

研究チームはどう考えている?

論文は、猫の数と幸福度が連動する理由の候補として、ペットとの暮らしが孤独感をやわらげるといった心の面の利点と、猫の多さがペットへの好意的な見方や暮らしのゆとりを映している可能性を挙げています。猫と人の関係については、猫と人間の絆の科学でも紹介しています。

猫が最終的なすみかとなる寄生虫なのに、猫の多い国で幸福度が高いのは、一見ふしぎです。StudyFindsの報道は、豊かな国では猫が室内で飼われ、市販のフードを食べ、定期的に動物病院にかかることが多いため、寄生虫が人に広がりにくいのかもしれない、という見方を紹介しています。ただし論文の表では、猫の数と過去の感染との相関はマイナス0.20と弱く、統計的にもはっきりした差ではありませんでした。

トキソプラズマとは

トキソプラズマは、猫の仲間を最終的なすみかとする小さな寄生虫です。論文によると、人へは主に、猫のふんに出た「オーシスト」と呼ばれる粒を口にすることや、十分に火を通していない肉を食べることでうつります。

日本動物医療センターの解説では、ふんに出たオーシストが感染する力を持つまでに約24時間かかり、猫がオーシストを出すのは初めて感染してから3日〜3週間のあいだだけとされています。

猫と暮らす人が知っておきたいこと

今回の研究は国どうしを比べたもので、家庭の猫について何かを示したものではありません。そのうえで、日本動物医療センターの解説にもとづき、トキソプラズマの予防の目安を紹介します(とくに、感染したことのない妊婦や猫で大切とされています)。

  • 猫は室内で飼う(室内飼いの環境づくりも参考に)
  • トイレのふんは、出てから24時間以内に片付ける
  • 妊娠中の人は、猫のトイレ掃除をほかの家族に任せる
  • 猫が過去に感染したことがあるかは、動物病院の抗体検査で調べられる(陽性ならすでに感染を終えていてオーシストを出さず、陰性なら今後の感染に注意が必要とされる)。妊娠中で心配なときは、産婦人科の医師に相談する

まとめ

93か国を比べると、猫の多い国ほど幸福度が高く、トキソプラズマに最近感染した人の多い国ほど幸福度が低い、という傾向がありました。ただし、豊かさと猫の多さが強く結びついているなど、この結果だけで「猫が国を幸せにする」とは言えません。仕組みを確かめるには、時間を追って調べる研究が必要です。

この記事は、公開されている一次資料をもとに AI の支援で作成し、編集者が内容を確認したうえで公開しています。画像は AI で生成したイメージです。

参考文献

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