猫はなぜマタタビに“酔う”の?またたびの科学と安全な楽しませ方

猫はなぜマタタビに“酔う”の?またたびの科学と安全な楽しませ方

その他 更新: 2026年07月10日

マタタビの枝を差し出したとたん、猫がうっとりと頬ずりし、体をゴロゴロと転がして“酔っぱらった”ような姿を見せる——猫を飼う人なら一度は目にする光景です。あの独特の反応は、いったい何が起きているのでしょうか。近年の日本の研究で、その仕組みと意外な効能が明らかになってきました。安全な楽しませ方とあわせて整理します。

マタタビに“酔う”のは有効成分のしわざ

猫がマタタビに反応するのは、植物に含まれるネペタラクトールという成分がきっかけです。長らく西洋マタタビ(キャットニップ)の「ネペタラクトン」が知られてきましたが、2021年に岩手大学などの研究チームがマタタビの主要な活性成分としてネペタラクトールを特定し、科学誌『Science Advances』で報告しました。

この成分が鼻の粘膜を刺激すると、猫の脳内で幸福感に関わる「μ(ミュー)オピオイド系」が働きだします。研究では、この経路をブロックする薬を投与すると反応が消えたことから、マタタビの多幸感がエンドルフィンによるものだと裏づけられました。人が運動でランナーズハイになる仕組みに近いといえます。

ゴロゴロ転がるのには“実用的な理由”もある

同じ研究では、頬や頭を擦りつけて転げ回る行動にも意味があるとわかりました。マタタビの成分を体になすりつけた猫は、蚊が寄りつきにくくなっていたのです。ネペタラクトールには蚊を遠ざける作用があり、猫は本能的に“天然の虫よけ”をまとっていた可能性があります。ただの酔狂ではなく、身を守る知恵だったのかもしれません。

すべての猫が反応するわけではない

マタタビ好きは万国共通のように思えますが、実際に強く反応するのは全体のおよそ3分の2ほどといわれます。反応の有無には遺伝的な個体差があり、生後半年に満たない子猫はほとんど反応しません。うちの子が無反応でも、性格や愛情に問題があるわけではないので安心してください。

マタタビ以外にも“猫が好む植物”がある

猫が反応する植物はマタタビだけではありません。海外で親しまれるキャットニップ(西洋マタタビ)のほか、キャットタイムやバレリアン(セイヨウカノコソウ)にも似た反応を見せる猫がいます。興味深いのは、キャットニップに反応しない猫でもマタタビには反応することが多いと報告されていること。「キャットニップは無反応だった」という子でも、マタタビなら喜ぶ可能性は十分にあります。数種類を少しずつ試して、その子のお気に入りを見つけてあげるのもおすすめです。

安全に楽しませる4つのコツ

  • 少量から:粉末なら耳かき一杯ほど。与えすぎは興奮のもとになります。
  • 誤飲に注意:枝や実を丸のみしないよう、そばで見守ってください。
  • 頻度はほどほどに:毎日ではなく、遊びやしつけの“ごほうび”として使うと効果的です。
  • 子猫・シニア・持病のある猫は控えめに:体調に不安があるときは、かかりつけの獣医師に相談してから使ってください。

マタタビは、室内飼いの猫の狩猟本能を満たす遊びのアクセントや、退屈からくる問題行動をやわらげるストレス発散の道具としても役立ちます。用量と体調に気をつけながら、暮らしのスパイスとして上手に取り入れてみてください。

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